怪物科学者の時代
田中聡 二四一五円
明治時代以降、近代科学に対し、古来からの文化との融合を図った人々がいた。佐田介石。井上円了。桜沢如一。福来友吉。寺田寅彦。橋田邦彦。南方熊楠。稲垣足穂……。彼らの一見怪しくとも大まじめな研究は、その時代の切実な知的闘争であり、その課題は近代を超えられぬ私たちのものでもある。科学のフォークロアとしての異色科学者列伝。

ニッポン秘境館の謎
田中聡 二四一五円
「秘境」という何とも胸をワクワクさせる響き──その懐かしくも妖しいイメージは高度成長期に多く語られ、雑誌や本で大ブームを巻き起こした。伊勢、志摩、熱海の秘宝館、目黒の寄生虫館、秩父珍石館、ムー大陸博物館……。日本人にとって秘境とは何なのか。日本のなかの秘境的空間を探り、なぜ秘境が人を引きつけるのかを論じた、異色の大研究。

内田魯庵山脈 ──〈失われた日本人〉発掘
山口昌男  六九三〇円
埋もれていた内田魯庵の小篇に、失われた知の原郷が隠されていた ──。近代日本の諸学、人類学、考古学、民俗学、美術史……は、学校のようなタテ型でない趣味や遊びに根ざした市井の自由なネットワークに芽吹き、魯庵はその象徴的存在だった。本書は、魯庵を手がかりに、近代日本の知の最良の部分と、粋な日本人たちを壮大な規模で掘り起こす、歴史人類学の達成である。

独学のすすめ
谷川健一  二三四五円
南方熊楠。柳田国男。折口信夫。吉田東伍。中村十作。笹森儀助。明治から昭和にかけて、既成の知識に縛られず、誇りをもって自分の道を切りひらいた巨人たちの生きかたを、民族学の第一人者が語る。「暖かで芯の強い語り口には、読者への強い信頼が感じられる」(日刊ゲンダイ)「混迷の時代に、静かな勇気を与えてくれる一冊」(静岡新聞)

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者

鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

「歩く学問」の達人
中川六平 一九九五円
鶴見良行、山折哲雄、長井勝一、小沢昭一、森まゆみ、野田知佑……。既成の、机上の学問を追究するのではなく、独自の方法で、自らの民間学を築いた人たち。お仕着せを嫌い、誇りを持って行動し、新しい学問を着実に獲得してきた15人にスポットをあて、強烈な個性、きらめく才能の源泉をさぐり、明かした、今の時代に一石を投じる一冊。

運鈍根の男 ──古河市兵衛の生涯

砂川幸雄  一九九五円
人間の一生は第一が運。その次が鈍。愚鈍なほどに一途に、ということです。それから根。根気強くなければならない。──これが「鉱山王」と呼ばれた明治の実業家古河市兵衛のモットーであった。この男の生き方が平成の大不況のさなか、あらためて見直されている。無一文からはじめて古河財閥の基礎をきずいた男の生涯をつづる、はじめての評伝。

製陶王国をきずいた父と子 ──大倉孫兵衛と大倉和親
砂川幸雄 一八九〇円
日本経済の地盤沈下がいわれるなか、注目を浴びている経営者がいる。衛生陶器のTOTO。タイルのINAX。碍子の日本ガイシ。プラグの日本特殊陶業。洋食器のノリタケ。高級磁器の大倉陶園。……これらの企業を創立し、世界のトップブランドに育てあげた、大倉孫兵衛とその長男大倉和親である。明治・大正・昭和の三代を生きた、実業家父子の気骨ある生涯を描く出色の評伝。

建築家吉田五十八
砂川幸雄 二九四〇円
若い建築家たちがこぞって近代建築に向かって走りだした昭和初期、吉田五十八はただひとり日本建築の革新を志した。以後、一貫して西洋の合理性と日本的美意識の調和を探究、実践する。吉屋信子邸、料亭新喜楽、大和文華館、大阪ロイヤルホテル、歌舞伎座など、数々の仕事を紹介しつつ、「現代数奇屋」の創始者の七十九年の生涯を描いた、はじめての評伝。

鳥を描き続けた男 ──鳥類画家小林重三
国松俊英 二四四七円
大正、昭和と六十年にわたって、ひたすら鳥の絵を描き続け、その絵はいまも鳥を愛する人々を魅きつけてやまない。忘れられた鳥類画家の生涯を掘り起こし、日本の鳥学をきずいた人びとの情熱をよみがえらせる、興趣あふれる伝記。「小林の生涯に関心を持つ人ばかりでなく、日本の鳥学の黎明期を知りたい人にも役に立つ本である」(『野鳥』評)


*表記の定価は2001年5
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。