科学は今どうなっているの?
科学と人類をとりまく環境は大きく変わりつつある。大規模な原発事故、オゾン層破壊、クローン技術とヒトゲノム解読……。技術の急速な発展の裏にある先行きの見えない不安。もし現代に生きる我々の生き様が、人類絶滅の引き金になるとしたら?
「現代を生きる私たちは、人類が獲得すべき新しい英知を紡ぎ出さねばならない世代であり、これまでの坂道を上る時代の歩みとは異なった、坂道を下る時代に有効な歩き方を見つけることが求められている」と、国際的な天文学者である著者は書く。
「二十一世紀前半をかけて、新しい歩行法を模索し試行する時代とすればよい。そのような時代を迎えるための準備するのが私たちの世代の責任なのではないか、そんな風に考えてきたのである。(略)せいぜい私にできることは、科学研究に携わってきた人間として、同時代に起こった科学・技術に関わる事柄を書き留め、そこから何か新しい時代へのヒントを探ることしかない」。
本書は、ここ十年に起こった科学をめぐる事件・事故から、最先端科学のあり方を問う。新時代へのヒントを探る著者初の科学時評。