まるで、大きなお風呂屋さん?! 憧れの歌舞伎座の前に立った著者の、なんともユーモラスな第一印象。
 なんだかとっても興味があるの。その勘だけを頼りに、右も左も分からぬままに、ひたすら歌舞伎に通い続けたズブの素人・ミーハーファンを自称する著者が、次第に本当のおもしろさに目覚めるまでをコミカルに綴ったエッセイ。
 主な演目のストーリーとその見どころを、超初心者だった自分の体験をもとに丁寧に解説。私が見はじめた頃に、こんな解説書があったらなあ。そんな思いで書かれた本書は、入門書としても最適。
 雀右衛門に玉三郎、勘九郎に橋之助、新之助に菊之助。カッコよくて美しくて華やかで、それでいてとらえどころのない役者さんたちに導かれ、めくるめく歌舞伎ワンダーランドへ。
 歌舞伎を見る前に必読。舞台が百倍楽しくなることうけあいです。