母、美しい老いと死
アンヌ・フィリップ 吉田花子訳 一七八五円
死にゆく母に、わたしは何ができるだろう? ままならない体をおして、ひとりで暮らす自由を守りぬいた母が、いま臨終の床にある。希望のない延命措置は退け、あたうかぎり自然な死をこの家で迎えたい──望んでいた最期をまっとうできるよう、医療者の力をかりながら娘はよりそう。九十歳で逝った母の最晩年を綴る切実な記録。

老親とともに生きる

向井承子 一八三五円
向井さんが老父母と同居しはじめたのは、1972年の春。「親孝行も数年のこと」と思った向井さんの「誤算」とは? 老父母との20数年の暮らしを記録し、日本の老人医療・福祉のありかたを根本から問い直す本。「けっして老人を見放さずに活路を開いてゆく著者の勇気ある知恵と誠実さに心を打たれる」(信濃毎日新聞・青木やよひ氏評)

おばあさんになるなんて
神沢利子 一六八〇円
くまの子ウーフは、どこから生まれたのか? 自伝『流れのほとり』を書くきっかけは? 創作のエピソードを織りまぜながら、童話作家は、自らの人生の歩みを初めて、ゆったりと話しだした。樺太の少女時代。戦後の貧しい生活。作家としてのスタート──。創作童話(「サクラ色のワンピース」「五つのクジラのストーリー」)も収録。

老親介護 こんなときどうする
川島淳子、敷田牧子 一九九五円
誰にでも必ず訪れる、親の介護。その時、暮らしはどう変わるのか? 二人の女性が介護の現場を徹底取材。誰もが直面する悩みや迷いをケース別にあげ、体験者や専門家の知恵から具体的な解決法を探る。ひたすら我慢の介護ではなく、介護する側の暮らしも大切にした、これからの介護とは? 慌てず、無理せず、取り組むために。ヒントに満ちた一冊。

ただいま故障中! ──わたしの晩年学
上野瞭 二二〇五円
はてさて、人生いかに終わるべきか──。友の晩年に想いをはせる。土手の雑草に心を寄せる。本や映画に男と女のままならぬ人生をかいま見る。自らの意志で死を選ぶ「ハムレット法案」の成立を大胆に夢想する。歳を重ね、病いの待ち伏せにあって、はじめて思い至った日々に宿る幸福の感覚。児童文学者の痛快にして味わい深いエッセイ。

自立する老後のために
高見澤たか子 二四一五円
老いの日々をどうやって生きるか。息子や娘の家族と同居する。あえて一人暮らしを選ぶ。老人ホームで暮らす。……日本で、ベルギーで、オランダで、それぞれの生き方を選択した人々と、その家族たち、彼らを支える病院や福祉施設を訪ねて、老後の本当の幸福とは何かを問う、書き下ろしノンフィクション。

猫の耳そうじ

工藤久代 一六三一円
京から松島へ。芭蕉の後をたどり「奥の細道」を歩きつづけた女性がいた。遺された紀行から幻の俳人がよみがえる。諸九尼は庄屋の娘だったが、旅の俳諧師・湖白と駆け落ち。その後、俳諧師として自立、波乱にみちた生涯をおくった。「この人について、入手しやすい本がでてくれることを切望していたので、実に嬉しい」(朝日新聞・北村薫氏評)

兄とアルツハイマー病
ナディーヌ・トランティニャン 佐藤潔訳  一九九五円
忘却の病に侵されたフランスの名優クリスチャン・マルカン。闊達な兄の変貌を受けいれるまでの苦悩と早期発見できなかった無念、愛と尊敬ゆえに揺れ動く心を、深い絆で結ばれた妹がつづる。アルツハイマー病患者と家族のながい歩みを伝える痛切な手記。

ある父親 PUZZLE
シビル・ラカン 永田千奈訳 一六八〇円
「ジャック・ラカンはわたしにとってどんな父親だったのか」世界に名高い精神分析学者の娘が、〈パズル〉の断片を集めるように記憶をたぐりよせる。家族の崩壊、思春期の終わりの苦しみ、死の床での拒絶……すべては父のせいに違いない。死んだ父と心をつなぐことはできるのか。涙は癒しにつながるのか。胸に響く凄烈なレクイエム。

和田夏十の本
谷川俊太郎編 二五二〇円
『黒い十人の女』 や『炎上』など、夫・市川崑監督作品の脚本家として知られる和田夏十は、62歳の若さで惜しまれつつこの世を去った。脚本のほか、エッセイ、創作、詩、評論など、遺された多くのすぐれた作品を、詩人・谷川俊太郎がセレクトし、一冊に編みあげた。働く女性として、時代に先がけて生きた和田夏十の魅力を網羅した待望の作品集。

*表記の定価は2001年2月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。