まえがき

1 無一文からはじめて次々と鉱山を経営

 明治八年、新潟の草倉鉱山でスタート
 第一国立銀行の融資で難関を切り抜ける
 まわりの反対を押し切り足尾銅山を買う
 下請から粗銅を買うだけだった草創期

2 創業六年で日本一の鉱山王となる

 相馬家と渋沢栄一と共同で足尾を経営
 創業四年目で良鉱を掘り当てる
 全国産銅量の半分を独占
 阿仁銅山も院内銀山も入手

3 世界市場との大勝負に挑んで大成功

 素人の技術者を使い製錬技術を革新する
 国際シンジケートと契約せずに大勝利
 断然早かったロープウェーと水力発電
 全山の動脈となる「大通洞」も完成

4 貧しい豆腐売りが小野組の大番頭に

 貧乏からの脱出を神仏に祈願する
 古河太郎左衛門の養子となる
 天下の豪商小野組で大活躍
 東京の「小野組糸店」を主宰する
 政府の都合で小野組が突如閉店

5 苛酷きわまりない公害防止工事を見事に遂行

 鉱毒被害の発生と示談交渉の開始
 政府に「鉱毒事件調査委員会」が設置される
 あまりにも苛酷だった鉱毒予防工事
 ついに天皇に直訴した田中正造

6 田中正造と古河市兵衛

 正造の理論的武器は大日本帝国憲法
 議員歳費を全額辞退して定収入はゼロに
 別子・小坂・日立の鉱毒事件とその対応
 「鉱毒王」と呼ばれても「明治十二傑」のトップ

7 鉱山専一主義に徹する

 炭鉱経営にも電化・合理化を推進
 養子の潤吉を後継者として厳しく育てる
 実権を譲ってからも独断で山を買い大成功
 手紙を出しつづけてすべての現場を掌握
 日本精神の象徴だとしてチョン髷を斬らず

8 市兵衛の死と古河財閥のその後

 鋼鉄王カーネギーと並び称された銅山王
 「古河」の寄付だけで国立大学が三つできる
 井上馨に強制されてチョン髷を斬る
 朝の出勤は七軒の妾宅から
 死後の混乱とその後の古河財閥

 参考文献・引用資料