踊る大地球――フィールドワーク・スケッチ
山口昌男 二九八二円
フィールドワークはナイジェリアから始まった。インド、種子島、メキシコ、カリブ海、ペルー……。文化人類学者は世界の村々を歩き描いてきた。スケッチブックを開き点描すること、それは著者にとって自らの思考を鍛えることであった。100点の絵が白い頁の上に踊っている。絵の案内人は杉浦日向子と畑中純である。

トリックスター 

R・ラディン他 皆河宗一他訳 二九四〇円
トリックスターとは、その自由奔放な行為ですべての価値をかきまわす神話的いたずら者である。本書はアメリカインディアンに語りつがれるトリックスター物語を人類学者ラディンが収集、ケレーニイ、ユングによる神話学的・心理学的分析を付し、多彩な知性の協力によってトリックスター像の解明を試みる独創的な書である。解説 山口昌男

道化と笏杖
ウィリアム・ウィルフォード 高山宏訳 五九〇〇円
愚行とは何か。道化とは何者か。中世愚者文学からサーカスクラウン、ドタバタ映画のヒーローまで、大胆な並置の方法を通して「愚行」の元型の解明に挑む。道化研究の金字塔として、今早くも古典と呼ばれるに至った名著の待望久しい邦訳。訳者による「フール小事典」と、貴重な図版多数を収録した、まさに決定版・道化大全である。

ルネサンスの異教秘儀
エドガー・ウィント 田中英道他訳 六七二八円
ルネサンスの偉大な芸術作品には、目に見える以上の意味がかくされている。ボッティチェルリの『春』にプラトン的な愛の弁証法を読みとり、ミケランジェロの『夜』に、古代の死の理論を発掘する。ヴァールブルク学派の硯学が、その豊かな学植を駆使して、ギリシャ以来の異教の生命力を蘇らせ、ルネサンス芸術を最深部から捉えた書。

本の都市リヨン
宮下志朗 三六七〇円
フランス、ルネサンス期。ヨーロッパの一大出版センターとして首都パリとしのぎをけずった「大市」の都市リヨン。ラブレーの作品をはじめ、数々の特異な書物を輩出したこの都市は、だが、書物の出現から百年余、歴史の表舞台から突然姿を消す。印刷・出版史上の黄金都市リヨンの興亡をあますところなく描きだした力作一〇〇〇枚。

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者

鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

野溝七生子というひと

矢川澄子 二五四八円
大正・昭和の文壇で特異な地歩を占めた作家、野?262B七生子。彼女はまた、辻潤をはじめ男たちを引きつけてやまぬ魅惑的な女でもあった。暴君的な父、若き日の恋、四半世紀に及ぶ孤高のホテル暮らし。その生の軌跡を愛情をこめて証す。「人生を描きだされた女性と描きだした女性の、この世での『団欒』の深さが切々と心をうつ」(読売新聞)

古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

古くさいぞ私は
坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

明治がらくた博覧会
林 丈二 二一〇〇円
百年前にタイムトリップしてみれば、思いがけない「日本の姿」に出会うことができる。当時はめずらしかった腕時計や手帳、万年筆から、今では使われなくなった釜や洗濯板、地口行灯。そのほか、水呑、遊技盤、錠前、病用具、亜鈴、ブランコ、はたまたビリケンやキューピー、達磨まで。路上観察家が垣間見る、ちょっと昔の日本人の生活。図版多数。

*表記の定価は2001年1月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。