お葉というモデルがいた
金森敦子  二三四五円
竹久夢二のモデルとして名高いお葉は、責め絵画家・伊藤晴雨と洋画家・藤島武二のモデルでもあった。まったくタイプの違う画家に、それぞれ多大なインスピレーションをあたえたお葉。画家たちは彼女に何を見たのか? 画家とモデルの抜き差しならぬ関係を、膨大な資料によって読みとき、大正を生きた希有なモデルの生涯をあきらかにする。

江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く ──諸九尼の生涯

金森敦子  一九九五円
京から松島へ。芭蕉の後をたどり「奥の細道」を歩きつづけた女性がいた。その名を諸九といい、庄屋の嫁だったが、旅の俳諧師・湖白と欠落ち。その後プロの俳諧師として自立。晩年に奥の細道へ。遺された、旅日記、句をもとに、波乱に満ちた幻の俳人の生涯が蘇る。第47回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

日本のミイラ仏をたずねて
土方正志 写真・酒井敦 二六五〇円
きびしい断食修行のすえ、生きながら土中でミイラとなった僧侶たち。芭蕉も参拝した14世紀の弘智法印から、明治を生きた仏海上人まで、全国18体の即身仏を訪ね歩く。出羽三山の仙人沢、美濃の名だたる古刹、念仏がこだまする京の洞窟……。さまざまな伝承、信者の声、貴重な写真を多数おさめた「即身仏紀行」。カラー口絵8頁。

怪物科学者の時代
田中聡 二四一五円
明治時代以降、近代科学に対し、古来からの文化との融合を図った人々がいた。佐田介石。井上円了。桜沢如一。福来友吉。寺田寅彦。橋田邦彦。南方熊楠。稲垣足穂……。彼らの一見怪しくとも大まじめな研究は、その時代の切実な知的闘争であり、その課題は近代を超えられぬ私たちのものでもある。科学のフォークロアとしての異色科学者列伝。

ニッポン秘境館の謎
田中聡 二四一五円
「秘境」という何とも胸をワクワクさせる響き──その懐かしくも妖しいイメージは高度成長期に多く語られ、雑誌や本で大ブームを巻き起こした。伊勢、志摩、熱海の秘宝館、目黒の寄生虫館、秩父珍石館、ムー大陸博物館……。日本人にとって秘境とは何なのか。日本のなかの秘境的空間を探り、なぜ秘境が人を引きつけるのかを論じた、異色の大研究。

南島周遊誌
藤沢高治 一八三五円
沖縄・奄美から、インド洋のモルジブ、セイシェル、そして南太平洋のニューカレドニア、タヒチへ……。「地球最後の楽園」とよばれる南海の島々に魅せられて26年。旅する人類学者が、豊かな自然の風物や宇宙のリズムと一体になって暮らす人々との出会いを通じて、時間やモノや言葉に縛られない、柔らかくのびやかな文化の本質をさぐる。

沖縄絵本

戸井昌造  二九四〇円
にぎやかな祭り。市場の活気。広大な米国基地。戦争の痕。豊富な民芸品。沖縄を忘れることのできない元日本軍兵士として、その豊かな自然と人に魅せられた一画家として沖縄と対話してきた著者の、五年間にわたる旅の成果。本島はもとより、離島のすべてをくまなく歩いて描きあげた一〇五枚の絵と文章で構成する、かつてない沖縄案内。

風の道 雲の旅
椎名誠  二六五〇円
マゼラン海峡に面した町で主人を待つ一匹の犬。モンゴルの草原で長いキセルから小さな煙りを吐き出している老人──旅する椎名誠の脳裏をよぎった、忘れがたい風景と人生の一瞬。心にしみいる24篇の物語。「物語に写 真が付けられるのではなく、まず写真があって、そこに物語を創造するという試みがおもしろい」(『山と渓谷』評)

「歩く学問」の達人
中川六平 一九九五円
鶴見良行、山折哲雄、長井勝一、小沢昭一、森まゆみ、野田知佑……。既成の、机上の学問を追究するのではなく、独自の方法で、自らの民間学を築いた人たち。お仕着せを嫌い、誇りを持って行動し、新しい学問を着実に獲得してきた15人にスポットをあて、強烈な個性、きらめく才能の源泉をさぐり、明かした、今の時代に一石を投じる一冊。

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者

鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

*表記の定価は2000年9月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。