独学のすすめ
谷川健一  二三四五円
南方熊楠。柳田国男。折口信夫。吉田東伍。中村十作。笹森儀助。明治から昭和にかけて、既成の知識に縛られず、誇りをもって自分の道を切りひらいた巨人たちの生きかたを、民族学の第一人者が語る。「暖かで芯の強い語り口には、読者への強い信頼が感じられる」(日刊ゲンダイ)「混迷の時代に、静かな勇気を与えてくれる一冊」(静岡新聞)

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者

鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

怪物科学者の時代
田中聡 二四一五円
明治時代以降、近代科学に対し、古来からの文化との融合を図った人々がいた。佐田介石。井上円了。桜沢如一。福来友吉。寺田寅彦。橋田邦彦。南方熊楠。稲垣足穂……。彼らの一見怪しくとも大まじめな研究は、その時代の切実な知的闘争であり、その課題は近代を超えられぬ私たちのものでもある。科学のフォークロアとしての異色科学者列伝。

ストリートワイズ
坪内祐三  二四一五円
街をひとつの大きな学習の場として、さ迷い歩いて行く。時に自分を見失いそうになりながら、身につけた知恵や知識。それが、ストリートワイズだ。福田恆存との出会い。丸山眞男の死で思ったこと。同世代の原辰徳の引退。大好きだった力道山のこと。それに真夏の読書……。街を歩き、そこで発見した新しい学問がここにある。

古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

植草甚一の散歩誌
植草甚一 解説・南伸坊 一五二九円
「ぼくのは大正式散歩とでも名付けると、どうやらピッタリしそうだ。小学生のころの散歩のしかたが、そのまんまなのである。──」東京は新宿、人形町から、大好きなニューヨークのグリニッチヴィレッジまで。いろんな店をひやかしながら街をブラつき、洋書をどっさり買い込んではコーヒーで一服。散歩の達人が街歩きの極意を伝授!

期待と回想 上・下

鶴見俊輔 各二四一五円
「私は不良少年だった……。」戦後日本を代表する哲学者が、七十余年にわたる自らの思索の軌跡を語りあかした。父母との葛藤。ハーヴァード大学での新しい記号論の哲学運動との出会い。「思想の科学」「べ平連」などの活動。桑原武夫、丸山眞男、吉本隆明らとのエピソード。読書、漫画、編集について──。明日に開かれた対話による思索的自伝。

心ときめかす
四方田犬彦  一九九五円
心の赴くままに編まれた『枕草子』の羅列の美しさ。宮沢賢治の奏でるチェロの音。ベルトルッチがコクトーに捧げた小意気なオマージュ。雪の降る日に聞く『無伴奏チェロ組曲』……。特異の嗅覚とつきることない好奇心で蒐集しつづけてきた〈心ときめかす〉もの。その魅力と感動の原点を明かした、珠玉のノスタルジック・エッセイ40編。

小さな雑誌で町づくり ──『谷根千』の冒険
森まゆみ 一九九五円
古き良き東京の面影をのこす、谷中、根津、千駄木。お金も経験もない若い母親たちが、自分の町のためにとタウン誌づくりを始めた。そして七年。歴史を掘り起こし、お祭りを盛りたて、地上げと闘う、女三人八面六臂の活躍を、痛快に書き下ろす。「これは現代への果敢なる冒険にほかなるまい。『谷根千』の女三銃士に敬礼」(小沢信男氏評)

読書休日
森まゆみ 一九九五円
本を開く、それが私の自由時間……。読む、書く、雑誌をつくる、と活字を愛してやまない著者が綴る、書物をめぐる豊かな世界。幼い心を揺さぶられた『フランダースの犬』、『ゲーテ恋愛誌集』、そして幸田文『台所のおと』……地域・メディア・文学・ライフスタイルなど多彩なジャングルの愛読書のなかから、とりわけすぐれた百冊余をおすすめする。

*表記の定価は2000年7月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。