ベストミステリー10年
北上次郎  二五四八円
血湧き肉踊らせる冒険。心を熱くさせる友情。ページを繰るのももどかしい、その面白さを満喫してもらいたい……。「面白い本の世界の探検家」北上次郎が、熱いメッセージを軽快な筆致にのせて贈る、一九八三年から一九九二年までの十年に刊行させた翻訳ミステリー読書案内・決定版。「その眼力はさえわたる」(共同通信系各紙評)

風の道 雲の旅
椎名誠  二六五〇円
マゼラン海峡に面した町で主人を待つ一匹の犬。モンゴルの草原で長いキセルから小さな煙りを吐き出している老人──旅する椎名誠の脳裏をよぎった、忘れがたい風景と人生の一瞬。心にしみいる24篇の物語。「物語に写 真が付けられるのではなく、まず写真があって、そこに物語を創造するという試みがおもしろい」(『山と渓谷』評)

古くさいぞ私は
坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

ストリートワイズ
坪内祐三  二四一五円
街をひとつの大きな学習の場として、さ迷い歩いて行く。時に自分を見失いそうになりながら、身につけた知恵や知識。それが、ストリートワイズだ。福田恆存との出会い。丸山眞男の死で思ったこと。同世代の原辰徳の引退。大好きだった力道山のこと。それに真夏の読書……。街を歩き、そこで発見した新しい学問がここにある。

古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

読書でござる
白石公子  一八九〇円
十代のときに読みそこねた太宰治。五重人格者を描いた『五重目のサリー』に自分を重ねる。一人で暮すメイ・サートンに共鳴する。詩人・エッセイストがつづる読書の日々。藤沢周平、群ようこ、E・M・フォースターが話しかけてくる。電車のなかで、枕を背にし、恋の小説からミステリーまで、自在に読み自由に楽しむ、女性のための読書案内。

読書休日

森まゆみ 一九九五円
本を開く、それが私の自由時間……。読む、書く、雑誌をつくる、と活字を愛してやまない著者が綴る、書物をめぐる豊かな世界。幼い心を揺さぶられた『フランダースの犬』、『ゲーテ恋愛誌集』、そして幸田文『台所のおと』……地域・メディア・文学・ライフスタイルなど多彩なジャングルの愛読書のなかから、とりわけすぐれた百冊余をおすすめする。

心ときめかす
四方田犬彦  一九九五円
心の赴くままに編まれた『枕草子』の羅列の美しさ。宮沢賢治の奏でるチェロの音。ベルトルッチがコクトーに捧げた小意気なオマージュ。雪の降る日に聞く『無伴奏チェロ組曲』……。特異の嗅覚とつきることない好奇心で蒐集しつづけてきた〈心ときめかす〉もの。その魅力と感動の原点を明かした、珠玉のノスタルジック・エッセイ40編。

装幀時代
臼田捷治  二七三〇円
戦後の出版文化史を語る上で、重要な問題のひとつ「装幀」。原弘から戸田ツトムまで、十一人のデザイナーの活動を紹介しながら、その仕事が生まれた時代的背景、出版文化におよぼした影響などを分析する。半世紀にわたる装幀のあゆみを通覧したデザイン・美術史であると同時に、時代の相貌を浮き彫りにした、もうひとつの同時代文化史。

ごはんつぶがついてます
南伸坊  一八九〇円
イラストライター・装丁家の著者の特選エッセイ集!「美学校」のころ。「ガロ」編集者時代。ツマにあてる手紙。深沢七郎さんに会いにいった日。私の葬式。無人島に持っていく本。格言の勉強。長井勝一さんのこと……。日々の暮らしをクスッと笑ったり、しんみりと思い出したり、シンボー・ワンダーランドの心温まる日々に御招待します。

*表記の定価は2000年7月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。