「在外」日本人
柳原和子 二九五七円
日本を離れたからこそ見えてくるものがある。漁師、板前、ビジネスマン、家政婦、大統領顧問……ひとりの女性が40カ国65都市を駆けめぐり、それぞれの地でダイナミックに生きる日本人のなまの声を聞きとった。戦後50年、私たちの時代を地球規模のスケールで描きだし、世界と日本の未来を問うかつてないインタヴュー・ノンフィクション。

カンボジアの24色のクレヨン

柳原和子  二五四八円
あの難民少年はどこへ消えたのか??私の手に血と泥と死の17枚の絵をのこして……。戦乱のつづく故郷を生きのびた14歳の少年の証言に、著者の追跡行を重ね合わせ、カンボジアの愛と憎しみの現代史を浮き彫りにする書下しノンフィクション。「単なるカンボジア論を越え出る貴重な人間的記録として読まれるに値する」(毎日新聞)

患者と医者は本当にわかりあえるか
堀夏樹  一六八〇円
何人もの末期がん患者を看取ったひとりの医者が、なぜインフォームド・コンセントが必要なのかを考えてゆく。医療とは病気を治すことだけで終わるものなのか。医者は患者に何ができるか。そして母をがんで亡くし、はじめてわかる患者の家族の気持ち。不安と迷い。試行錯誤をくりかえしつつ患者と医者のよりよき関係をさぐる真摯で切実な記録。

和田夏十の本
谷川俊太郎編 二五二〇円
『黒い十人の女』 や『炎上』など、夫・市川崑監督作品の脚本家として知られる和田夏十は、62歳の若さで惜しまれつつこの世を去った。脚本のほか、エッセイ、創作、詩、評論など、遺された多くのすぐれた作品を、詩人・谷川俊太郎がセレクトし、一冊に編みあげた。働く女性として、時代に先がけて生きた和田夏十の魅力を網羅した待望の作品集。

癌とたわむれて
アナトール・ブロイヤード 宮下嶺夫訳  一九三七円
新聞の名書評者として活躍していた著者が癌を告知された。彼は治療を記録し、病と死の文学をひもとく。理想の死を考え、患者にとっての理想の医師を考える。そして病をわがものとし、乗り越えるのに最も必要な、自分なりの死に臨むスタイルを探究する。告知から14ヵ月、死の瞬間まで自分をみつめた感動のメモワール。サックス博士絶賛の書。

医療倫理の夜明け ──臓器移植・延命治療・死ぬ権利をめぐって
デイヴィッド・ロスマン 酒井忠昭監訳  三七八〇円
多くの人が病院で死を迎える今、誰が人の生と死を決めるのか。患者に秘密で行われた新薬の実験、脳死からの臓器移植、植物状態の娘の死ぬ権利をめぐりあらそわれた「クィンラン事件」など、急激な技術の発展に伴う医療倫理の問題を、実際の医療事件や裁判を通して考えるノンフィクション。患者の権利と未来の医療のあるべき姿を提言する。

医学は何ができるか

ルイス・トマス 石館康平、中野恭子訳  二八五四円
好奇心にみちた科学者の目と、患者に触れるあたたかい手。アメリカを代表する医学者の原点は、町医者の父が患者と親身につき合う姿だった。抗生物質の導入で、死病が激減したインターン時代の「革命」。免疫学に没頭した研究室の日々。看護婦だった母の思い出──自らの歩みを綴りつつ、「もっとも若い科学」である医学の今と未来を語る。

人間というこわれやすい種
ルイス・トマス 石館康平、石館宇夫訳  二五四八円
37億年前に生まれたバクテリアが現在の人間の形になるまでの、生命の不思議な営みに魅せられた医学者が、地球という生命体と人間の姿を、「共生」の視点から描きだす。「しなやかな知性の素晴らしさを感じさせてくれる、とても良質の医学エッセイ」(週刊文春・永井明氏評)「人間、生命、地球──じっくり読む価値ある本」(週刊朝日評)

車椅子の高さで
ナンシー・メアーズ 青海恵子訳 二四一五円
人生半ばにして負った障害をどう受け入れ、生きる喜びを見いだしていくか……。29歳で多発性硬化症と診断された著者は、移動の自由をじわじわと失ない、やがて車椅子暮らしになる。病気の進行にともなう不安。介護者である夫との関係。性の問題、旅の喜びと困難。車椅子の高さから見た世界を豊かに綴る、知性とユーモアあふれる感動のエッセイ。

もうひとつの手話 ──ろう者の豊かな世界
斉藤道雄 一九九五円
日本には二つの手話がある。日本語を手指で表した〈手指日本語〉とろう者本来の言葉〈日本手話〉。テレビや通訳で見かける多くは〈手指日本語〉。一方、ろう者は〈日本手話〉でこそ本当の気持ちを表せるという。音声語とは全く異なる独自の単語、文法をもつこの豊かな言語を明かし、知られざるろう社会を描き出す、秀逸なノンフィクション。

*表記の定価は2000年6月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。