秋のホテル 〈ブルックナー・コレクション〉
アニータ・ブルックナー 小野寺健訳  一七八五円
秋。スイス。ジュネーブ湖畔に立つ「ホテル・デュ・ラック」。女性作家イーディス・ホウプは、イギリスを追われるようにシーズンオフのこのホテルへやってきた……。現代の愛のかたちを真摯に探りつづける女の孤独な心理を、硬質な美しい文章で描くブッカー賞受賞の話題作。イギリスで今もっとも注目を集めるブルックナーの物語世界を初紹介する。

三文オペラに恋して

エレーヌ・ファインスタイン 池田香代子訳 二四一五円
1920年代、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレーのウェイトレス、フリーダは、詩人・劇作家のブレヒトに出会う。女は身体からわき上がる思いをステージで歌い、男は腐敗する社会への怒りを演劇にたくした。モスクワ、ニューヨーク、東ベルリン……戦争と政治の嵐が吹き荒れた時代、ブレヒトとかかわり生きた女性の生涯を描くモデル小説。

アウトサイド
マルグリット・デュラス 佐藤和生訳 二七三〇円
パリの裏町で生きる名もない人びと。三面記事をにぎわす男と女の愛の狂気。犯罪者の抗いがたい真実。女優バルドーやジャンヌ・モローの肖像。敬愛する作家バタイユとの対話。子供たちへの宇宙をめぐる聞書き……。未知との出会いにたゆまぬ刺激をうけた『愛人』の作家デュラスが描く、知性と情熱とユーモアあふれる珠玉のエッセイ27篇。

韓国のおばちゃんはえらい!
渡邊真弓 一八九〇円
言葉も知らず、二人の子連れで飛び込んだソウル。韓国社会どっぷりの暮らしが始まった。キムチを漬ける。井戸端会議に割って入る。言い値で買わない。むやみに謝らない。時には怒鳴り、時には喧嘩も…。熱く濃いつきあいをユーモラスに綴る。韓国でも大反響を呼んだ、笑いと涙の痛快エッセイ。

おばあさんになるなんて
神沢利子 一六八〇円
くまの子ウーフは、どこから生まれたのか? 自伝『流れのほとり』を書くきっかけは? 創作のエピソードを織りまぜながら、童話作家は、自らの人生の歩みを初めて、ゆったりと話しだした。樺太の少女時代。戦後の貧しい生活。作家としてのスタート──。創作童話(「サクラ色のワンピース」「五つのクジラのストーリー」)も収録。

やっとひとり
小沢瑞穂 一八三五円
娘が巣立ち、初めての一人暮らし。さあ、これからが私の本番! 50歳の誕生日にピアスを入れる。たった一人で家を買う。NYを気ままに散歩する。どんなことでも、自分が一番したいようにする──これが私の流儀。翻訳のコツから遊びの方のルールまで、人気翻訳家がのびやかに綴る大人の女のナチュラルな生き方、軽やかな歳の重ね方。

車椅子の高さで

ナンシー・メアーズ 青海恵子訳 二四一五円
人生半ばにして負った障害をどう受け入れ、生きる喜びを見いだしていくか……。29歳で多発性硬化症と診断された著者は、移動の自由をじわじわと失ない、やがて車椅子暮らしになる。病気の進行にともなう不安。介護者である夫との関係。性の問題、旅の喜びと困難。車椅子の高さから見た世界を豊かに綴る、知性とユーモアあふれる感動のエッセイ。

老親介護 こんなときどうする
川島淳子、敷田牧子 一九九五円
誰にでも必ず訪れる、親の介護。その時、暮らしはどう変わるのか? 二人の女性が介護の現場を徹底取材。誰もが直面する悩みや迷いをケース別にあげ、体験者や専門家の知恵から具体的な解決法を探る。ひたすら我慢の介護ではなく、介護する側の暮らしも大切にした、これからの介護とは? 慌てず、無理せず、取り組むために。ヒントに満ちた一冊。

和田夏十の本
和田夏十著 谷川俊太郎編 二五二〇円
『黒い十人の女』 や『炎上』など、夫・市川崑監督作品の脚本家として知られる和田夏十は、62歳の若さで惜しまれつつこの世を去った。脚本のほか、エッセイ、創作、詩、評論など、遺された多くのすぐれた作品を、詩人・谷川俊太郎がセレクトし、一冊に編みあげた。働く女性として、時代に先がけて生きた和田夏十の魅力を網羅した待望の作品集。

ミツバチと暮らす四季
スー・ハベル 片岡真由美訳 二四一五円
都会で図書館司書をしていた女性がミズーリ州オザーク山地に移住、養蜂業を始めた。それから15年、溢れんばかりの自然のなかでミツバチを飼い、ハチミツを採取する日々を綴る。越冬準備の秋、薪ストーブのかたわらでミツバチの本をひもとく冬、ハチたちを巣から花へと送り出す春、収穫の夏。「地球上の生物の営みは、人間だけのものじゃない」──呼吸が自然のリズムに合ってくる。女一人の田舎暮らしの知恵に満ちた一冊。

*表記の定価は2000年2月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。