まえがき

1 すべての価値は個人から始まる
2 アメリカにおける夫婦の物語とは
3 ベースボールという最高のゲーム
4 アメリカに移り住むための根源的な元気
5 フロンティアから脱出して獲得する自由
6 表紙に印刷された通し番号
7 「私は奴隷として生まれた」
8 新聞記者がスターだった時代
9 笑わせながら泣かせもする話術の妙
10 ミステリーにもヴィンテージはあるようだ
11 一九四○年代のカートゥーン傑作見本帳
12 オグデン・ナッシュを知っていますか
13 話し上手が縦横に語った時代
14 女性用の書き言葉の上出来な見本
15 処女作を破り捨てたキャサリン
16 ペーパーバックという物体の魅力にひかれて
17 緊迫した状況で一服の煙草、という表紙絵
18 拳銃渡世の男たちとブーツの底
19 子供の頃、土曜日の午後、西部劇を見る
20 西部劇は三本立て。これはその二本めだ
21 そして三本めの西部劇へ
22 幌馬車でミズリー河からオレゴンまで
23 『ニューヨーカー』で人気のあったピーター・アーノ
24 二十五セント硬貨ひとつで一冊の本を買う
25 チャンドラーの小説への、一九四五年版の入口
26 五十円硬貨ひとつで買うことができた
27 表紙絵を観察する。そして物語を推測する
28 表紙は窓だ、その窓から読者は本のなかを見る
29 デザイナーの名にちなんで、マンソの鷹と呼びたい
30 表紙のスペースという、デザイナーの自由地帯
31 SFのペーパーバックとしてこれは最初のもの
32 買わせる力は表紙絵に宿る
33 一九九九年夏、東京でロマン・ロランは二百円
34 じつは僕は表紙絵を買っていた
35 物語はさておき、まずとにかくこの表紙を
36 蔵書印の日付は昭和三十一年七月二十八日
37 この時代のアメリカの人々は、どんな笑いを大事にし たのか
38 遺産として相続した膨大な数のジョーク
39 ユーモアのないアメリカを想像してごらん
40 ジョークを語って人を笑わせる才能
41 駆逐艦と潜水艦、一対一、互角の勝負
42 ままならぬ人生の科学的な改善策
43 理想をめざして果てしなく続く蛇行
44 英語という科学を自分のものにする
45 潜水艦小説、という領域は楽しめる
46 この時代のポケット・ブックの典型的なできばえ
47 若きケネディが奥さんに捧げたベストセラー
48 多くの人を心の底からつき動かした
49 第二次大戦とオーディー・マーフィー
50 ペーパーバックによる雑誌の試み
51 娯楽小説のなかのこれは絶滅種
52 目立つ表紙に人は手をのばす、という法則
53 表紙のおかげで、これはいまここにある
54 たいへん面白く読んだ、という記憶
55 ナンシーとスラッゴーの強烈な個性そしてユーモア
56 面白そうだ、読んでみようか、と僕は思う
57 あの男、ハリー・ライムを主人公にして
58 ビング・クロスビーという成功物語
59 ふたりが踊っているのはリンディではないか
60 コラムニストの個性から生まれる楽しい読み物
61 一九五○年、ペーパーバック・ミステリーの表紙絵
62 彼女が決定的な事実を知った瞬間
63 この表紙を見る人の視線がたどる経路
64 昔のペーパーバックスはこれだからやめられない
65 読者は一九四○年代の終わりへと連れ戻される
66 私立探偵の一人称による物語とは
67 犯人とその犯行を最初に書いてしまう
68 いまではとても作れない表紙の一例
69 表紙絵の女性はラナ・ターナーに似ている
70 いまは昔のハードボイルド見本帳
71 ハードボイルドとはつまるところ戦争なのだ
72 爆弾をかかえたアナーキストのような冬
73 『月曜日殺人事件』というタイトルの示す方向
74 流行作家とその商品の試行錯誤
75 一九五○年代なかば、ジョー・フライデーとフランク
 ・スミス
76 表紙の絵はリアリズムから脱出を始めていた
77 マーロウの一人称ぶりを点検する楽しみ
78 かつて八十円、そしてあるときは百二十円、古書とし ての値段
79 拳銃のグリップで後頭部を殴るという定石
80 表紙に描かれたジェイムズ・ボンド
81 彼は地球から時の風のかなたへ
82 神保町の喫茶店とわんぱくデニス
83 表紙デザインは次の時代へ、そして値段は五十セント
84 リプレーの『信じようと信じまいと』という連載コラ ム
85 英語で書かれた東京『ここより新橋まで』
86 文芸作品ショーケースとしてのペーパーバック雑誌
87 ダフネ・デュ・モーリエイを読んだことがありますか
88 新聞に連載された恋愛相談の人気コラム
89 アレキサンドリア四重奏の最後の一冊
90 歴史小説─文字によるヴァーチャル体験の王道
91 ア・サマー・プレイスとは夏を過ごす別荘のこと
92 チャンドラーの中編を四つでこの一冊
93 この書体があればこその表紙デザイン
94 最高なのはこの作家だと彼女は言っていた
95 一九六三年、表紙デザインは急速に変化していく
96 家庭のなかの愛、家庭の外にもあり得る愛
97 火星に地球のコロニーが作られて早くも十年
98 一九六七年、表紙のデザインは完全に変わった
99 一九六六年。トマス・B・デューイー。ミント・コンディション
100 ステータスを手に入れた人たちはどこにいるのか

 あとがき