〈犀の本〉 子どものからだとことば
竹内敏晴 一四七〇円
からだのゆがみ、ねじれ、こわばり、など子どものからだこそ、子どもがさらされている危機のもっとも直接的な表現なのだ。分断せられ、孤立させられた「からだ」をすくいだし、からだとことばをとりもどす道をさぐる。「なるほどと思いあたるふしが多く、小さな本であるのにたいへん充実している」(週刊朝日評)

歌う演劇旅行

斎藤晴彦 一八九〇円
さあ、ごいっしょに! 斎藤晴彦の行くところ、いつも歌あり芝居あり。少年時代、疎開先であった旅まわりの役者の思い出。みずから所属する劇団黒テントの活動。ミュージカル『レ・ミゼラブル』の魅力。ナット・アダレイや三木鶏郎によせる尊敬の念。舞台のたのしみを表から裏から自在に綴る、痛快無比にして出たとこ勝負のエッセイ集。

三文オペラに恋して
エレーヌ・ファインスタイン 池田香代子訳 二四一五円
1920年代、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレーのウェイトレス、フリーダは、詩人・劇作家のブレヒトに出会う。女は身体からわき上がる思いをステージで歌い、男は腐敗する社会への怒りを演劇にたくした。モスクワ、ニューヨーク、東ベルリン……戦争と政治の嵐が吹き荒れた時代、ブレヒトとかかわり生きた女性の生涯を描くモデル小説。

ブレヒト全書簡
ベルトルト・ブレヒト 野村修訳 八二九八円
1913年、ブレヒト十五歳から、1956年、五十八歳で死ぬまで、四十三年にわたり書きつがれた八九四通の手紙を収録。ベンヤミンやコルシュなど親しい友への手紙、ルカーチやトーマス・マンなど味方であり対立者である相手への手紙──。本書は、ブレヒトの生涯の記録であるとともに、この時代の貴重な証言でもある。

スタニスラフスキー伝 1863―1938
ジーン・ベネディティ 高山図南雄・高橋英子訳 八九二五円
演出家、俳優、初の演技システム考案者。旧ソ連崩壊による新資料をもとに、隠されていたその生涯の新事実を明かす決定的評伝。「宿敵」メイエルホリドとの真の関係。スターリンとの葛藤……。「神秘のベールをはがされ、リアルで透明になった天才の生。彼の切り開いた時代の相にふさわしい評伝がようやく書かれた」(日経新聞評)

殻を破る ──演劇的探究の40年
ピーター・ブルック 高橋・高村・岩崎訳 二九五七円
死守せよ、そして軽やかに手放せ。演出家ピーター・ブルックはつねに生きた舞台をもとめ、40年間、世界演劇の最先端を歩んできた。ロイヤル・シェィクスピア劇団での数々の傑出した仕事。映画・オペラにおける果敢な試み。世界中から集った役者たちとの異文化横断の旅。現代最高の演出家の、名著『なにもない空間』に続く待望のエッセイ集。

なにもない空間
ピーター・ブルック 高橋・喜志訳 一六八〇円
なにもない空間──そこに一人の男が立ち、そして彼を見つめるもう一人の人間。演劇が成立するためにその他になにがいるだろう。貧困と豊饒、純粋と混沌が背中あわせの場所。われわれの劇場とはわれわれの生きる世界そのものなのだ。今日の演劇に失われた真の全体性を求めて、鬼才演出家ブルックが演劇的表現の真髄を証した異色の論集。

子どものための美しい国
ヤヌシュ・コルチャック 中村妙子訳 三九九〇円
ぼくらの自由の国をつくろう! 大人は学校へ、子どもは仕事へ。子ども国会の設立。アフリカ人食い族との交流……。つぎつぎと画期的な改革にのりだした少年王マットの大きな夢と冒険。「ゆかいで、もの悲しく、皮肉で、感動的な物語」と、モーリス・センダックが激賞したポーランドの幻の傑作が、発表から60年を経て、いまよみがえる。