写真論
スーザン・ソンタグ 近藤耕人訳 一四〇〇円
現代は写真の時代である。だれもがカメラマンで、なにもかもが被写体になる。写真がわれわれの意識を支配し、現代文化の隠れた構造を決定づけていることを分析する、現代アメリカの最もラディカルな批評家の本格的写 真文化論。アッジェ、アーバスらの作品批評、ベンヤミン、ボードレールらの写 真についての断章を収める。

定本 映画術
A・ヒッチコック、F・トリュフォー 蓮實重彦、山田宏一訳 四二〇〇円
これが映画だ! 映画の巨匠が華麗なテクニックを大公開。サイレント時代の処女作から最後の作品まで、五二〇枚の写真を駆使して語りつくす。「まず読み物として興味津々」「技術面だけにととまらず、技術と主題、形式と内容とが不可分のものであることを、じつに説得的に語っているところに本書の真の価値がある」(朝日新聞評)

そして映画はつづく
キアロスタミ、プールアハマッド ゴルパリアン、土肥悦子訳 二九五七円
世界中から絶賛されるイランの巨匠アッバス・キアロスタミ。繊細にして豊饒なその作品は、いかにしてつくられるのか?瑞々しい秀作『友だちのうちはどこ?』製作ノート、エッセイ、黒澤明監督との対話から、すぐれた映画作家の思想と方法を解きあかす。フィルモグラフィほか詳細なデータを付した、キアロスタミ映画のすべてを明かす一冊。

未来映画術「2001年宇宙の旅」
ピアース・ビゾニー 浜野保樹、門馬淳子訳 四九三五円
スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』の製作過程は多くの謎に包まれていた。著者は当時の一次資料を発掘し、その製作過程を解きあかすことに成功した。貴重な多数の図版に加え、シノプシス全文、当時のレビュー記事を収録した本書は、すべてのファンが待ち望んだ、メイキング・オブ・『2001年宇宙の旅』の決定版だ。

小津安二郎のまなざし
貴田庄 二四一五円
小津安二郎の映画には、一見物語には無関係に思える奇妙なショットがちりばめられている。枕もとに置かれた目覚し時計。風にひるがえる洗濯物。煙のたなびく煙突。……。小津の観客には忘れがたいそれらのショットを精細に分析し、その映画術の深奥に迫る。小津映画の秘密をすみずみまで解き明かす、画期的な書き下ろし評論。

ベンヤミン/アドルノ往復書簡
津野海太郎編 一八九〇円
W・ベンヤミン、T・W・アドルノ 野村修訳 五四〇三円 1930年代を代表するドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンとテーオドーア・W・アドルノ。二人が交わした書簡の現存するすべてが初めて集成された。危機の時代に、「共同で哲学することを運命としていた」(アドルノ)二人の、孤独な仕事と友情を、あますところなく伝える121通の貴重な往復書簡集。

陶酔論
ヴァルター・ベンヤミン 飯吉光夫訳 二五四八円
1930年前後のヨーロッパ。ベンヤミンは人為的な〈陶酔〉を通して翳りゆく時代の真の姿をとらえようとした。E・ブロッホらと試みた麻薬服用実験、酩酊状態での街の散歩……ベンヤミンの知られざる薬物陶酔への傾倒が明らかになるとともに、パッサージュ論、アウラ論の基礎ともなった、精神の彷徨の軌跡を辿ることのできる貴重な一書。

三文オペラに恋して
エレーヌ・ファインスタイン 池田香代子訳 二四一五円
1920年代、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレーのウェイトレス、フリーダは、詩人・劇作家のブレヒトに出会う。女は身体からわき上がる思いをステージで歌い、男は腐敗する社会への怒りを演劇にたくした。モスクワ、ニューヨーク、東ベルリン……戦争と政治の嵐が吹き荒れた時代、ブレヒトとかかわり生きた女性の生涯を描くモデル小説。

ミュンヘン・キャバレー・政治 1900−1923
ロバート・エーベン・サミット 大島かおり訳 二一〇〇円
20世紀初頭のエンターテインメントの都ミュンヘンで人気を博した、天才的道化師ヴァレンティンと愛国的演歌師フェルドル。二人の芸は、なぜ人びとを熱狂させたか? 第一次大戦、ドイツ革命、ワイマル共和国、ナチスの抬頭……ゆれうごく時代の民衆の意識と感情を、大衆演芸のなかに読みとく、社会史の新しい試み。

ドイツはどこへ行く?
H・M・エンツェンスベルガー 石黒、野村訳 三一六一円
均質化された「あたりまえ」の社会が異端を呑み尽くすとき、「あたりまえ」そのものが狂気をおびる。この奇妙な状況のなかに、希望を見出すことはできるのか。メディアから政治・経済、エコロジーにわたる批判を通して、統一ドイツ、EC統合、さらに極東の超経済大国日本をも射程にふくむ、この課題をつきつける、評論集。