英国生活物語
W・J・リーダー 小林司、山田博久訳 一八九六円
19世紀後半、イギリスは陽の沈むことなき繁栄を謳歌し、同時に、近代社会の諸矛盾を世界で初めて体験する。学校。鉄道。住宅。郵便。移民。病院。スポーツ。娯楽。この時代のイギリスが生み出し、その後の民衆生活の基盤を形作った事物・風俗のなりたちを描き、背後に流れる自覚されざる時代の精神を浮かびあがらせる。

シャーロック・ホームズ家の料理読本
ファニー・クラドック 成田篤彦訳 三〇五九円
霧のロンドンはベーカー街221番地。名探偵シャーロック・ホームズ氏とその助手ワトスン博士の食卓のテーブルにあなたをご招待します。ホームズ家の名料理人ハドスン夫人手ずからの家庭料理をあなたも楽しみませんか。オードブルからデザートまで、ヴィクトリア時代の伝統的なイギリス料理237種類の作りかたをご紹介します。

名探偵ポワロの華麗なる生涯
アン・ハート 深町眞理子訳 三三六〇円
アガサ・クリスティーが生んだ20世紀最大の名探偵、エルキュール・ポワロ。犯罪捜査という芸を追求し、あまたの難事件を解決したこの男は、いったいどんな人物だったのか?「本書はポワロ物の主要作品を通して、その『生涯』の軌跡をたどり、ポワロの探偵術の特徴を、鮮やかに分析してみせる」(朝日新聞評)。ミステリー研究の白眉。

ダシール・ハメット伝
ウィリアム・F・ノーラン 小鷹信光訳 二七三二円
悩めるアルコール中毒者か? 燃えつきたマルクシストか?「血の収穫」や「マルタの鷹」などの傑作を残した不滅のハードボイルドの実人生は数々の伝説と謎に包まれている。栄光と挫折のはざまで、自らハードボイルドな生涯を送った人間ハメットの実像を、長期にわたる調査と取材をもとに浮き彫りにする。決定版伝記。

女探偵大研究
キャスリーン・グレゴリー・クライン 青木由紀子訳 四六八九円
かつて探偵は男の仕事だった。今やミステリーは女探偵の時代である。一八六四年の初登場以来、120?年間300冊に描かれてきた女探偵たちを徹底的に分析する。彼女たちの犯罪解決法は? 仕事と私生活は? 恋愛と結婚は? 女探偵の物語にうつしだされた女性像を解き明かし、新しいミステリーの可能性を掲示する、刺激的な評論。

ニューヨーク女刑事
ドロシー・ユーナック 青木久恵訳 一五八〇円
アメリカの人気ミステリー作家ユーナックは、ニューヨーク市のベテラン女刑事だった。若く希望に燃えた一人の女性が世界最大の犯罪都市の第一線で生きぬく姿をリアルに描く、半自伝的ノンフィクション。「単なるハードボイルドでない、視線の細かい動きが、ニューヨーク警察の人間模様と底辺の人々の姿をよくとらえている」(毎日新聞評)

さらばニューヨーク
ウイリアム・アイリッシュ 稲葉明雄訳 一八三五円
懐かしい「セントルイス・ブルース」のメロディーを口ずさむながら、年老いた盲目の母の許へ帰ってきた息子は、おたずね者の強盗の仲間なのか??憂愁派推理作家アイリッシュがムードたっぷりに描きあげるブルーな世界。おなじみサスペンス小説から怪奇ファンタジー、珍しいパロディまで、ベストを撰りずぐって贈る、決定版短編集。

マーロウ最後の事件
レイモンド・チャンドラー 稲葉明雄訳 一七三三円
送られてきた箱のなかには、削りたての鉛筆が一本──いわずと知れた死の宣告だ。快調なすべり出しから、意外なトリックの明かされる結末まで、ハードボイルドのエッセンスだけで出来ているような「マーロウ最後の事件」。原作に惚れぬいた訳者が、チャンドラーの人の作品を論じた長文の解説を付し、丹精こめた訳文でおくる、決定版傑作集。

黄色い部屋はいかに改装されたか?
都筑道夫 一八九〇円
かつて、あれほどぼくたちを夢中にさせた名探偵たちはどこへ行ってしまったのか。どうすれば、あのワクワクする謎ときの楽しみをもういちど味わうことができるだろうか。ユニークな推理作家。都筑道夫が、クィーン、カー、横溝正史などから現在作家の新作まで、さまざまの作品を縦横に論じ新しい本格推理小説の可能性を探る長篇評論。

乱歩おじさん ──江戸川乱歩論
松村喜雄 二三四五円
少年探偵団の小林少年のモデルは私だった?──年少のころから親戚の子どもとして乱歩の身近にいた著者による書き下ろし乱歩論。大正12年発表の処女作「二銭銅貨」以後、長年にわたって書きつがれた乱歩の全作品を読み直し、著者見聞したエピソードの数々をまじえつつ、日本の推理小説における乱歩の意味を明らかにする。