〈犀の本〉 子どものからだとことば
竹内敏晴 一四七〇円
からだのゆがみ、ねじれ、こわばり、など子どものからだこそ、子どもがさらされている危機のもっとも直接的な表現なのだ。分断せられ、孤立させられた「からだ」をすくいだし、からだとことばをとりもどす道をさぐる。「なるほどと思いあたるふしが多く、小さな本であるのにたいへん充実している」(週刊朝日評)

ハイ、こども診療所です
梅村浄 一九三七円
アトピー性皮膚炎。気管支ぜんそく。こどもの言語障害。学校へ行こうとすると頭が痛くなる──。こどもの身体と心にかんする、親ならば誰もがいだく不安と、こども自身が直面する悩みに、ベテランの女医さんがあたたかく答える36篇のエッセー。各章末には、その症例にかんする基礎知識を加え、育児の小百科としても役立つようにした好著です。

小児病棟の子どもたち
向井承子 一七三三円
さまざまな病いが子どもを蝕む。腎臓病。小児喘息。心臓疾患。自閉症。登校拒否症。重症心身障害児とよばれる子どもたち。病気とのたたかいは、子どもを病気に追いつめてゆくものとのたたかいなのだ。四国のある国立小児病院を舞台に、今日の医療最前線での、医師、看護婦、子どもたちのたたかいを描く、書き下ろしノンフィクション。

生きるための道具作り ──心身障害者施設のデザイナー
光野有次 二三一〇円
長崎県小長井町。有明海に面した静かな町。光野さんはその町にある心身障害者施設に勤める工業デザイナーである。日日の仕事の記録をとおして、障害者たちの懸命に生きる姿と介護する人たちの活動を描く長篇エッセー。「光野さんと仲間たちの仕事も、ひたむきである。だが同時に、そこには、ゆとりと夢がある」(朝日新聞・天声人語)

障害者の日常術
障害者アートバンク編 一九三七円
目が見えなくても、手や足が動かなくても、仕事もするし、恋愛もする。車椅子でスポーツだってするし、子育ても楽しむ。さまざまなハンディーとともに生きる29人の人々が、工夫と発見にみちた日々の暮らしと意見を自由に語る、かつてないインタヴュー集。「ユーモアにあふれたふだん着のことばは、かえって感動的だ」(日本経済新聞評)

障害者に迷惑な社会
松兼功 一九三七円
障害者が歩けば、偏見に当たる!? 街角で、電車の中で、映画館で、ごくあたりまえの楽しみや生きがいを味わえない社会から、障害者は迷惑をかけられている。日常生活のあれこれをはじめ、政治と福祉、ボランティア、「差別表現」問題まで、鼻の先でワープロを打ちつつ考える著者の怒りと笑いと真情とがあふれるエッセイ集。

知的障害をもつ子とともに ──手織りの仲間たち
親子工芸教室編 一九九五円
知的障害をもって生まれたわが子に、生きがいをもたせてやりたい──。そう願う母親たちが手織りの教室をつくった。何もできないと思われていた子どもたちが織物の技術を習得し、豊かな可能性を目覚めさせてゆく。全国の知的障害者とその母親たちを勇気づける、親子工芸教室の15年の歩みを、教室の活動と母子の手記を通して描く。

〈サックス・コレクション〉 手話の世界へ
オリバー・サックス 佐野正信訳 二一四一円
音声言語にまさるともおとらぬ豊かな表現力をもつ「手話」。手話が禁じられた時代から今日まで、ろう者の歴史を辿りつつ人間の脳の驚くべき潜在力を明らかにする。人間のコミュニケーションに新たな可能性をひらくこの言語を通して、ろう者の文化に光をあて、言葉とは何か、人間とは何かを新しい視点で捉えなおす優れたメディカルエッセイ。

〈サックス・コレクション〉左足をとりもどすまで

オリバー・サックス 金沢泰子訳 二二〇五円
左足に大ケガを負った脳神経科医サックス。手術し傷は癒えたが、なぜか左足が自分のものだと感じられない。神経障害のため、脳のなかの左足のイメージが失われてしまったのだ。すぐれた医者が、回復までの自己の症状の変化と「患者」として生きる者の内面 をつづる。心とからだ、病と癒し、患者と医者のありかたを考えるメディカル・エッセイ。

〈サックス・コレクション〉 レナードの朝
オリバー・サックス 石館康平・石館宇夫訳 二九五七円
若き脳神経科医サックスが赴任した病院には食欲も人間らしい表情もない半昏睡状態の患者たちがいた。彼らはサックスの渾身の治療によって数十年の眠りから「めざめ」るが、それもつかのま、恐ろしい「副作用」との闘いがはじまるのだった。レナードをはじめ、病とともに生きる20人の患者たちと正面 から向きあった感動の記録。傑作医学エッセイ。