怪物科学者の時代
田中聡 二四一五円
明治時代以降、近代科学に対し、古来からの文化との融合を図った人々がいた。佐田介石。井上円了。桜沢如一。福来友吉。寺田寅彦。橋田邦彦。南方熊楠。稲垣足穂……。彼らの一見怪しくとも大まじめな研究は、その時代の切実な知的闘争であり、その課題は近代を超えられぬ私たちのものでもある。科学のフォークロアとしての異色科学者列伝。

日本のミイラ仏をたずねて
土方正志 写真・酒井敦 二六五〇円
きびしい断食修行のすえ、生きながら土中でミイラとなった僧侶たち。芭蕉も参拝した14世紀の弘智法印から、明治を生きた仏海上人まで、全国18体の即身仏を訪ね歩く。出羽三山の仙人沢、美濃の名だたる古刹、念仏がこだまする京の洞窟……。さまざまな伝承、信者の声、貴重な写真を多数おさめた「即身仏紀行」。カラー口絵8頁。

型録・ちょっと昔の生活雑貨
林丈二 一八九〇円
明治の初期にはじまった通信販売。当時のカタログには、鉛筆、魔法瓶、料理ストーブ、帽子掛、お丸、ハンモック……ありとあらゆる暮らしの道具が掲載されている。300点もの貴重な図版とエッセイで丹念に掘り起こす、衣・食・住の道具が語る日本人の生活史。一歩でも西洋人に近づきたかった、ちょっと昔の日本人の暮らしが見えてくる。

ごはんつぶがついてます
南伸坊 一八九〇円
イラストライター・装丁家の著者の特選エッセイ集!「美学校」のころ。「ガロ」編集者時代。ツマにあてる手紙。深沢七郎さんに会いにいった日。私の葬式。無人島に持っていく本。格言の勉強。長井勝一さんのこと……。日々の暮らしをクスッと笑ったり、しんみりと思い出したり、シンボー・ワンダーランドの心温まる日々に御招待します。

なくなったもの
宮本貢 二四一五円
美空ひばりは輝き、元気な田中角栄がいた。ハイセイコーは駆け抜け、両手に「平凡パンチ」と「朝日ジャーナル」があった……。蒸気機関車から電話ボックスまで、いつの間にか消えてしまったもの・人を綴った辛口コラム。「著者の温かくもしぶとい精神が発掘した感動の物語」(「日刊ゲンダイ」評)

すぐそこの遠い場所
クラフト・エヴィング商會 一八九〇円
「この事典はね。見るたびに中身が変わってゆくのだよ」不思議な場所アゾットの永遠に未完の事典。遊星オペラ劇場、星屑膏薬、雲母でできた本、忘却事象閲覧塔……。アゾットには、謂れも始まりもわからないたくさんの事や物がつまっている。これらを写真や図版を使って紹介しながら、ノスタルジックな世界へと誘う精巧なファンタジー。

極楽さん
土橋とし子 一六八〇円
翌朝のおでんの味。父の持病。頭でっかちな初恋。……普通の日々にひそむ〈極楽の素〉を糧に、今日もとし子はゆく。故郷・和歌山ののどかな子ども時代からトホホな青春時代、大阪でのキビシイ丁稚時代に出会った事件の数々を描く、人気イラストレーターの笑いあふるる初エッセイ。愉快なイラストと漫画を満載!

月の家族
島尾伸三 二二〇五円
希代の収集家、島尾伸三のモノ集めはいかにして始まったか。──昭和30年代、陽光あふれる奄美の島。作家の父と心病む母が紡ぐ『死の棘』の家で、少年の関心はモノへと向かった。切手、虫、マッチ箱、薬のチューブ、ロザリオ……。子供のうちに同居する無垢と残酷、失われゆくものへの愛惜を繊細に綴る自伝的エッセイ。挿絵・土橋とし子。

ストリートワイズ
坪内祐三  二四一五円
街をひとつの大きな学習の場として、さ迷い歩いて行く。時に自分を見失いそうになりながら、身につけた知恵や知識。それが、ストリートワイズだ。福田恆存との出会い。丸山眞男の死で思ったこと。同世代の原辰徳の引退。大好きだった力道山のこと。それに真夏の読書……。街を歩き、そこで発見した新しい学問がここにある。

ワンダー植草・甚一ランド
植草甚一 二五二〇円
不思議な国はきみのすぐそばにある。焼跡の古本屋めぐりから色彩とロックの渦巻く新宿ルポまで、20年にわたって書かれた文章の数々。たのしいカラー・イラストで構成された自由で軽やかな植草甚一宇宙。「まことに軽妙でしゃれている。とにかく変幻自在。切抜帳を作るように本を楽しんで作りあげているところがよい」(朝日新聞評)