トリックスター
R・ラディン他 皆河宗一他訳 二九四〇円
トリックスターとは、その自由奔放な行為ですべての価値をかきまわす神話的いたずら者である。本書はアメリカインディアンに語りつがれるトリックスター物語を人類学者ラディンが収集、ケレーニイ、ユングによる神話学的・心理学的分析を付し、多彩な知性の協力によってトリックスター像の解明を試みる独創的な書である。解説 山口昌男

神話学入門
K・ケレーニイ C・Gユング 杉浦忠夫訳 二六二五円
古代人にとって、神話とはあらゆる不条理や残酷さを秘めた生きる営為そのものであった。しかし、今日われわれにとって、神話的始原にかかわることはどのようにして可能か。20世紀屈指の碩学、神話学者ケレーニイと心理学者ユングが「童児神」「少女神」の神話像を手がかりに、神話の本質と根源を明かした「開かれた神話学」のための入門書。

宗教の復讐
ジル・ケペル 中島ひかる訳 三六七〇円
1970年代以来、ヨーロッパ、中東、アメリカで、過激な宗教運動が次々に復活しはじめた。それは神の言葉を武器にした世界への新たな「異議申し立て」であった。これまで個別にしか注目されてこなかった宗教運動を、大きな社会的文脈のなかに位置づけ、その力の背景を根底から分析した、気鋭の政治学者による野心作。

公共性の喪失
リチャード・セネット 北山克彦訳 六〇九〇円
現代社会は「公」と「私」のバランスを著しく欠いた社会である。近代社会の成立以来の歴史をひもとき、政治、メディア、都市生活からファッション、芸術にいたるまでを素材に現代社会のメカニズムをするどくえぐる。アメリカの文化社会学者による刺激的研究。「明日の日本社会の骨格を考える上で、この上ない手掛かりとなる」(毎日新聞)

殻を破る ──演劇的探究の40年
ピーター・ブルック 高橋・高村・岩崎訳 二九五七円
家は一戸建てでなきゃ、という人も、マンションが好き、という人も、もう一度考えてみよう。世界の絵本のなかに、住宅と都市を住み手にとりもどすための、知識と知恵を読みとる。「私たちは、もっと素敵な住宅、環境、都市に住むことはできないものだろうか? 住める、とこの本の著者は答える」(週刊朝日評)

演戯都市と身体 ──ヨーロッパ幻視行
田之倉稔 二九四六円
仮面、マイム、行列、祭り、スポーツ、政治、戦争、そして演劇──18世紀ヴェネツィアから現代の身体表現まで、ヒトの歴史を貫く演戯行為の原型と、演戯空間としての都市との関係をシャープに読みとく、イタリア文化研究の俊英による待望の第一評論集。「ありきたりの演劇論や都市論や身体論そのものをたえず異化してゆく」(朝日新聞評)

被抑圧者の演劇
アウグスト・ボアール 里見実ほか訳 二四一六円
演劇は専門家のものではない。農村で、スラムで、工場で、くりひろげられてきた民衆演劇の実践。ボアールの演劇は、パウロ・フレイレの識字教育とともに、ラテンアメリカの民衆文化運動のなかから生まれた。「新聞劇」「見えない演劇」「討論劇」……観客を観客という状態から解放し、現実変革の援けとなるような演劇のための最良の手引き。

文化とは
レイモンド・ウィリアムズ 小池民男訳 一九三七円
「文化」の時代が標榜される今日、「文化」をいかに解読するかが問われている。現代イギリスの代表的論客ウィリアムズが真向から書き下ろした、待望の「文化」社会学のためのテクスト。広範な歴史素材を扱いながら、歴史と社会が交錯するダイナミックスのなかに「文化」をとらえ、具体的な素材分析をとおして、その変容を明らかにする。

人種問題
スタッズ・ターケル 中山容、田村博一、福本麻子訳 三九七五円
『仕事!』『「よい戦争」』のピュリツァー賞ジャーナリストが現代最大のタブーに挑んだ! 黒人、白人、アジア系、中南米系。会社社長、牧師、工場労働者、主婦、KKK団員ら83人の恐れと軽蔑、不満、建前と本音、罪悪感、絶望と希望。アメリカ人の心の奥底に潜むものが、これほど率直に語られたことはない。最新大型インタヴュー集。