金子光晴(一八九五─一九七五)

──明治生まれは、なにかかなしい。空のいろが澄んで、水がつめたく、ふれるものがなんでも痛くて、よそよそしい。(明治人)
──みすみす、殺しにやる戦線に、知っていて送る気持にはなれなかった。……次第によっては、子供のいく前線に、単独で両親が跡いていって、適当な保護の手をのべるつもりだった。(子供への召集令状)
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愛知県津島生まれ。二四歳で渡欧し、ロンドン、ベルギー放浪。帰国後、詩集『こがね虫』刊行。三十代の五年を妻と世界放浪。詩集『鮫』『蛾』、自伝『詩人』『どくろ杯』など。