笠信太郎(一九〇〇─一九六七)

──イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。そしてスペイン人は、走ってしまった後で考える。
──イギリスは「話し合うデモクラシー」、フランスは「果し合うデモクラシー」、スイスは「文句をいうデモクラシー」……さて、それならば、わが日本のデモクラシーには、一体何という名をつけたらよいものであろうか。
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福岡県生まれ。朝日新聞特派員としてベルリン滞在中、第二次大戦勃発。戦中戦後の欧州見聞にもとづく名著『ものの見方について』(51年刊)は百万部をこえるベストセラーに。筆をとった社説は二百余。戦後日本を代表するジャーナリストの一人。