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ヘラヘラと笑っているのは、堺雅人にかぎった話じゃない。「涙は女の武器って言うからね」発言の小泉首相のヘラヘラ笑いにしたって、同じようなもんだ。ある知り合いの女性(フェミニストではない)に言わせると、小泉内閣支持率が急落したのは、田中真紀子を更迭したことが直接的な理由というよりも、「涙は女の武器」発言をヘラヘラした顔で言っちゃった小泉に、多くの女性がうんざりした、反発した、怒りを覚えた、ってことらしい。そう言われて、へええ、なるほどねえ、そういうことなんだ、と妙に納得したんだ。
実は、田中真紀子が外相になったときは、ちょっとだけ期待していた。いわゆる対米追随の従属外交ではなくて、独自の外交戦略とかもってる人じゃないかなと、少しだけ期待していた。で、蓋をあけてみたら、なんのことはない、トンデモおばさんだったわけで、いやあ、期待した自分がバカだったんだけど。
で、田中真紀子は、外相としての能力に欠けている、無能だって意見にしても、じゃあ、いままでの外相でちゃんとした能力のあるのなんて、いなかったわけだから、田中外相無能説ってのも、ある意味、期待の裏返しなんだと思う。
それで、去年の小泉内閣の圧倒的な高支持率ってのは、小泉だったらやってくれそうだ、という期待が支えていたんだろうけど、その期待はあまりに過剰な期待だったのだ。その過剰さが、小泉首相の頭の中にある構造改革と、小泉支持者が期待する構造改革の間に、実はものすごい隔たりがあるはずなのに、その隔たりを見えなくしていたように思う。
バブル崩壊後の日本の状況というのは、怪獣みたいなものだとすると、その怪獣にミサイルやらなんやらで反撃を試みたけど、ぜんぜん効果がなくて、どんどん廃虚が広がっていく。で、そこに登場した小泉ってのは、ウルトラマンみたいなものだったんだろう。
で、ウルトラマンとしての小泉に、いったい支持者は何を期待してたのかというと、これまでの日本の延長にある政治ではなくて、これからの政治、もっというと、日本という国を作り直すことであり、そのための古い仕組みの解体作業だったんだろう。
でも、冷静に考えると、小泉には、いや小泉にかぎらず、他の誰でもいいんだけど、そういう特定の政治家が、日本という国を作り直すなんてことは、絶対にできるはずがないことなんだ。小泉にできることって、うまくいって、自民党をどうにかするくらいなんだと思う。
それから、鈴木宗男にしたって、そもそも外交が票にならない、って現実がまずあって、でも、そこに目をつけて、社交じゃない、どろどろした外交をやってきて、そのことで権力と影響力をつかんじゃった人なのだと思う。で、問題は、鈴木宗男個人がどうこうというのではなく、そういう鈴木宗男みたいなのが出てくる背景や構造が、ほったらかしにされてきたことのツケなんだと思うのだ。
まあ、小泉や田中は、それまで国民に、普通に語りかける言葉をもってなかった政治家のツケだけは自覚していて、そのことだけは、そこそこうまくやってきたってだけなんだ。でも、たんにそれだけのことで、圧倒的に支持されてしまった、ということは、政治が、自分たちのものではなくて、あの人たちにお任せするものであるってことを、ますます強固にしてしまった。その結果、自分たちの政治というのは、ますます遠ざかってしまった。
これからも、姑息な人気取りのパフォーマンスを、小泉は続けていくんだと思う。それで、田中真紀子を外相にしたのも、田中外相がいろんなヘマをやってもずっと更迭せずにいたのも、小泉人気に自信があって、余裕があったからなんだろう。ヘラヘラ笑っていられるうちは、まだまだ余裕なんだろう。で、そうした余裕があるうちは、なんにも変わらないし、変わってほしいと期待するだけ無駄なんだ。
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